注文住宅で長く快適に過ごすために必要なメンテナンス
公開:2024.11.27 更新:2024.11.27注文住宅は、住む人のライフスタイルや理想を反映させた特別な住まいです。しかし、こだわり抜いた家でも、時間が経つにつれて劣化が進みます。快適で安全に暮らし続けるためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
屋根や外壁、床、水回りなどの点検を怠ると、小さなトラブルが大きな問題に発展することもあります。こちらでは、注文住宅で長く快適に過ごすために必要なメンテナンスのポイントを紹介し、住宅の寿命を延ばすための手間を惜しまない重要性を解説します。
目次
注文住宅メンテナンスの重要性
注文住宅は住む人の理想を反映したこだわりの住まいです。しかし、建築した後も快適に住み続けるためには、メンテナンスが欠かせません。長期間安心して暮らすために、適切な維持管理が重要です。
◇劣化は防げない
建物は長年の使用により劣化が避けられません。木材や金属部分は自然の影響を受け、時間とともに劣化が進むため、全ての住宅には耐用年数が存在します。たとえば、外壁や屋根は10~15年で劣化が見られることが多く、塗装や交換が必要になることもあります。
こうした劣化は防ぐことは難しいものの、定期的なメンテナンスにより寿命を延ばすことが可能です。特に木造住宅ではシロアリや湿気による腐食も懸念されるため、適切な管理が長く住み続けるためのカギとなります。
◇メンテナンスを行うことで快適が長く続く
注文住宅において快適な住環境を維持するには、定期的な点検とメンテナンスが不可欠です。特に、長期優良住宅制度に登録されている住宅は、長期間にわたり快適かつ安全な生活ができるよう設計されていますが、適切なメンテナンスを怠ると、その性能を発揮できなくなることもあります。
点検内容としては、外壁や屋根の状態確認、シーリングのひび割れチェック、水回りの設備の点検などが挙げられます。これらの点検は住宅の寿命を延ばすだけでなく、住まいの安全性を守り、将来的な大規模修繕のコストを抑える効果も期待できます。
住宅で特に劣化しやすい箇所
画像出典:フォトAC
住宅は長年にわたり使われることで、さまざまな箇所が少しずつ劣化していきます。特に、外部の環境や日常的な使用にさらされる部分は、劣化が早く進行することが多いため、定期的なメンテナンスが重要です。ここでは、住宅の中で特に劣化が目立ちやすい箇所について、簡単にその特徴を説明します。
◇屋根
屋根は日々、紫外線や雨風にさらされており、最も劣化しやすい部分のひとつです。特に、日本の気候では四季ごとの温度変化も大きいため、屋根材が膨張や収縮を繰り返し、ひび割れや色褪せが生じやすくなります。
劣化が進むと防水性能が低下し、雨漏りなどのトラブルを引き起こす可能性も高まります。また、屋根材には瓦、スレート、金属などさまざまな種類があり、それぞれの材質によって劣化の進行具合も異なります。そのため、定期的な点検と材質に応じたメンテナンスが必要です。
◇外壁
外壁もまた、住宅の外観を保護し、内部の温度を適切に保つ役割を果たしていますが、長年の風雨や日光によって色褪せやヒビが発生しやすい部分です。特に、外壁の塗装が剥がれてくると見た目が悪くなるだけでなく、壁自体の防水性も低下してしまいます。
塗装の剥がれやカビ、コケが見られる場合には、外壁材に浸水が進んでいるサインと考えられ、放置すると建物の内部にも影響が及ぶことがあります。そのため、外壁も定期的な点検とメンテナンスを行い、早めの対処が求められます。
◇床
床は住宅内で最も頻繁に使われる場所であり、特に人の行き来が多い廊下やリビングなどは劣化が早い傾向にあります。フローリング材の反りや浮き、キズが目立ってきた場合、それは劣化のサインです。
また、床の下に湿気がたまりやすい環境だと、カビやシロアリの発生リスクも高くなります。特に木材を使用している床材は湿度の影響を受けやすいため、梅雨時期や湿度が高い時期には定期的に換気を行うなど、簡単なメンテナンスも大切です。
◇水回り
水回りは常に水を扱う場所であり、他の箇所と比較して特に劣化しやすい部分です。キッチンや浴室、トイレの水回りは、湿気や水垢によるカビやサビの発生が顕著で、放置すると衛生面や耐久性に悪影響を及ぼします。
また、排水管や蛇口の部品も使用により劣化が進み、配管の詰まりや水漏れといったトラブルが起こりやすくなります。定期的に清掃や部品の交換を行うことで、劣化を抑え、快適な水回り環境の維持が可能です。
定期点検の重要性と主な内容
家の状態を健やかに保つためには、適切なタイミングで定期点検を行うことが必要です。定期点検は、日々の小さな異変や劣化を見逃さず、大規模な修理を防ぐ役割を果たします。ここでは、住宅の定期点検の重要性と各時期ごとの点検内容について解説します。
◇定期点検の重要性
家は年数が経つと少しずつ劣化が進み、見た目だけでなく構造にも影響が及ぶ可能性があります。新築時の点検や定期的なメンテナンスを欠かさず行うことで、安心して長く住み続けられる環境を保てます。
定期点検は、屋根や外壁のひび割れ、窓枠の隙間などを発見しやすく、これらの小さなトラブルを早めに解決することで、大規模な修理のリスクを軽減します。また、点検によって防犯性や耐震性なども確認され、家族が安全に暮らせる環境を守ることができます。住宅の健康診断とも言える定期点検は、家の価値を守る上で重要な役割を担っています。
◇2年・5年点検
新築から2年目と5年目の点検では、一部保証が切れる箇所が出てくる時期で補修の必要がないかなどの確認も行われます。建物の収縮や揺れによって起こる微妙な変化や、経年による歪みが生じていないかをチェックします。
たとえば、壁や床に使われるビニールクロスの寿命やシロアリ予防剤の効果が切れる時期です。これらの初期の段階での点検が、今後の家の耐久性に大きく影響を与えることから、対策が必要になります。
◇10年目
10年目の点検は、住宅の中でも特に耐久性が求められる部位の確認が行われる重要な時期です。この時点で行うのは、外壁や屋根の点検で、これらは風雨にさらされるため劣化が進みやすい場所です。ほかにも、ベランダやバルコニー・サッシなどのメンテナンスが必要になります。
また、給排水管や電気配線などの設備も点検されるため、安心して使い続けられるようになります。この10年目の点検は、大掛かりな修繕を未然に防ぐ意味でも非常に大切です。
◇20年目
20年目の点検では、家全体の耐久性や安全性の維持を目指し、必要に応じて大規模なメンテナンスが行われます。この頃になると、外装材や屋根材だけでなく、内部の木材や金属部分も劣化が進むことが多いため、構造自体の安全性を確認することが求められます。
また、給湯設備やトイレ、キッチンといった設備も経年劣化が進むため、交換や修理が検討されます。20年目の点検は、次の10年20年に向けて家をリフレッシュする重要なメンテナンスのタイミングです。
◇30年以降
30年を超えると、住宅は大幅なリフォームや修繕が必要になる場合が多くなります。耐震補強や断熱性能の向上といった現代の基準に合わせた改修が求められる場合も多く、家族の生活スタイルや住宅設備の変化に応じて、リノベーションが検討されることも増えてきます。
また、これからも快適に住み続けるために、外装や内部の改修を通じて住宅全体を再確認することが大切です。
住宅の点検を行う際の注意点
住宅の点検は、長く快適に住み続けるために重要な作業です。点検の際には、見落としがちなポイントや重要な確認事項があります。ここでは、住宅の点検を行う際の注意点について詳しく解説します。
◇自身で確認した箇所の報告
住宅点検では、専門業者が行う検査と合わせて、居住者自身が日頃から気づいた不具合や気になる点を報告することが大切です。自身で気づいた小さな問題でも、専門家に伝えることで、早期の対策が取りやすくなるでしょう。住まいの細部に目を配ることで、長期的に住宅のコンディションを良好に保てます。
◇保証期間に注意する
住宅には、一般的に10年の保証期間が設けられており、この期間内であれば無償で補修を受けられる場合が多いです。保証期間中の点検や修理は、必要に応じて積極的に行うことで、重大な損傷が発生する前に手当てを済ませることができます。
また、保証期間が過ぎると修理費が自己負担になるため、保証期間内にしっかりと点検を行い、必要な修理を施しておくことが経済的にも有利です。
◇長期優良住宅の点検は義務
長期優良住宅と認定された住宅では、定期的な点検が法律で義務づけられています。これは、耐久性の高い住まいを維持し、将来にわたって安心して暮らせる住環境を確保するためのものです。
長期優良住宅の点検は、一定の年数ごとに計画的に行われ、建物の状態を記録し、必要な修繕やメンテナンスを行う仕組みになっています。定期的な点検によって住宅の性能が保たれ、資産価値の維持にもつながります。
このような義務化された点検を受けることで、住まいの安全性や快適性を長く維持できます。
注文住宅は住む人の理想を反映した特別な住まいですが、長期間快適に暮らすためには定期的なメンテナンスが不可欠です。建物は自然の影響を受けて劣化し、特に屋根や外壁、床、水回りなどが早期に傷みやすい部分です。
適切な点検と修繕を行うことで、家の寿命を延ばし、予期せぬ大規模な修理を防ぐことができます。また、定期点検は住宅の安全性や耐震性、防犯性を確認する重要な機会でもあります。
新築後2年、5年、10年、20年ごとの点検を行うことで、家の価値を守り、将来にわたって快適な生活を続けることが可能です。長期優良住宅の場合、定期点検が義務化されており、これにより住環境の維持と資産価値を保つことができます。