新築注文住宅でアレルギー症状が出る原因と対策
公開:2023.12.08 更新:2023.12.08新築注文住宅でアレルギー症状が出る方は、「シックハウス症候群」の可能性が考えられます。新築注文住宅にはシックハウス症候群の要因が多く含まれていますが、全ての新築住宅で発症するわけではありません。同じ新築住宅に住んでいても、症状が出る人もいれば出ない人もいます。
また、新築だけでなく既存住宅でも症状が現れることがあります。まずはシックハウス症候群について理解し、それに対する対策を知っておくことが重要です。
目次
新築注文住宅でアレルギー症状が出る原因
新築住宅においてアレルギー症状が発生する場合、原因は建材に含まれる化学物質や室内のカビ、ダニ、ホコリなどが考えられます。建材や家具に使用される接着剤や塗装剤が気化して室内に広がったり、室内で発生するカビやダニ、ホコリを吸い込むことで、アレルギー症状が引き起こされる可能性があります。
特に近年の住宅は気密性が高く、換気が不十分な場合はアレルギーの原因物質が室内に滞留しやすくなっています。アレルギーの症状は目や鼻のかゆみ、鼻水、呼吸器の症状、皮膚の乾燥やじんましん、めまいや頭痛、吐き気、けんたい感などがあります。
シックハウス症候群
上述した健康被害や室内汚染を指して、建材から発生する化学物質などによる問題を「シックハウス症候群」と呼びます。2003年の建築基準法改正により、新築住宅では建材の制限や換気設備の設置が義務付けられ、シックハウス症候群への対策が強化されました。
シックハウス症候群の症状
シックハウス症候群の症状は個人によって異なり、その発症メカニズムはまだ完全に解明されていません。一般的な症状には以下が含まれます。
・目のかゆみ
・鼻水
・咳
・喉の乾燥
・じんましん
・めまい
・吐き気(嘔吐)
・頭痛
・倦怠感
新築住宅に引越したにもかかわらずこれらの症状が現れる場合、シックハウス症候群の可能性が考えられます。その原因や発症メカニズムについてはまだ十分な理解が進んでいないため、注意が必要です。
新築注文住宅でアレルギー症状を起こさないためには?
注文住宅建築時の対策
建築材
建築材には、ホルムアルデヒドの発散濃度を示す基準が国土交通大臣によって設定されています。
「JIS(日本産業規格)」および「JAS(日本農林規格)」で認定された「F☆☆☆☆(エフ フォースター)」と表示される建築材は、シックハウス症候群の発症リスクを最小限に抑えるための効果が期待できます。
接着剤
ホルムアルデヒドやVOCは、一般的に接着剤に使用される素材で、シックハウス症候群の主な原因物質です。
スライスした板を接着剤で結合した合板や、木材のカケラを接着剤と混ぜて成形したパーティクルボードなど、接着剤が多く含まれる建材を避けるだけでも、シックハウス症候群のリスクを軽減できます。
床材
輸入される建築材は、通常、虫や病気の予防のために化学物質で処理されることが一般的です。このような建築材を使うことは、シックハウス症候群だけでなく、足裏や素手で触れる床やフローリングに対しても懸念があります。
特に、床材においては、国産の無垢材を選ぶことで、シックハウス症候群の発症リスクを軽減することが期待できます。
壁材
内装仕上げにおいて接着剤を使用すると、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒド、VOCのリスクが懸念されます。しかし、漆喰や塗り壁に切り替えれば、有害物質を使用せずに内装を仕上げることができます。これにより、シックハウス症候群の原因物質を避けることが可能です。
さらに、漆喰や塗り壁には湿度を調整する効果もあります。適切な湿度は、化学物質の揮発を抑制し、カビやダニの発生を抑えるのに役立ちます。
高気密・高断熱
家の中で温度差があると、外気の影響を受けて結露が生じることがあります。結露によって湿気がたまり、それが原因でカビが発生し、また、カビがダニの増加を招くことがあります。
しかし、高い断熱性と気密性を備えた家は外気の影響を受けにくく、結露が起こりにくくなります。これにより、カビやダニの発生を防ぎ、快適な室内環境を維持することができます。
入居前・入居後の対策
換気
入居前には、全ての部屋の窓を開けてしばらくの間、十分な換気を行うことが重要です。入居後も最初の数ヶ月間は毎日、窓を開けて定期的な換気を心がけましょう。さらに、数ヶ月が経過した後も定期的な換気が非常に重要です。
湿度
入居後は換気と一緒に、カビやダニの発生を防ぐための対策を講じましょう。まず、頻繁な掃除を心がけ、アレルギー症状や皮膚炎の原因となるダニやその死骸、ふんなどを効果的に取り除きます。
同時に湿度の管理も大切です。湿度が50%程度に保たれるよう心がけましょう。湿度が高いとアレルギーの元となるカビが繁殖しやすくなりますし、湿度が低いとのどの粘膜が乾燥して風邪などにかかりやすくなりますので、バランスを保つことが重要です。
日干し
良い天気の際には、積極的に日光を取り入れ、カーペット、畳、寝具などを日光で乾かすことがお勧めです。日光には殺菌と乾燥の効果があり、これによって室内の清潔さを保ち、快適な環境を維持できます。
シックハウス症候群は、新築注文住宅だけでなく既存住宅でも発症する可能性があります。ただし、新築住宅では新しい建材の使用などから発症頻度が高まるとされています。現在のところ、化学物質を一切使用せずに家を建てることは難しく、根本的な解決策は見つかっていません。
しかし、天然由来の成分を使用した材料を選ぶなどのシックハウス症候群対策を行っている建設会社や工務店も存在します。新築住宅を検討する際には、こうした工務店に相談することも一つの選択です。
ただし、引越し前の生活習慣の変化がないにもかかわらずアレルギー症状が現れる場合は、シックハウス症候群の可能性が考えられます。アレルギー反応を防ぐためにも、掃除や換気などの日常的な対策を徹底的に行いましょう。