珪藻土の壁とは?漆喰との違いやメリット・デメリット
公開:2023.12.08 更新:2023.12.08珪藻土の壁は、藻類の化石からできた堆積岩で、土壌改良や建材に広く使用されます。塗り壁には珪藻土に石灰やアクリル系接着剤を混ぜて利用する特徴があり、漆喰に似た仕上がりがあります。外観は黄色みがかった茶色で、様々な色で着色された建材もあり、内壁の塗料として人気です。
目次
珪藻土の壁とは?漆喰との違い
珪藻土は、藻類の化石で形成された堆積岩で、時折ダイアトマイトとも呼ばれます。一般的に土壌改良や保温、建材などに使用されます。塗り壁に利用する際は、珪藻土自体に接着能力がないため、主に石灰やアクリル系の接着剤と混ぜて使用されます。
その仕上がりは漆喰に似ており、施工が容易であり、DIY愛好者にも人気です。外観は黄色みのある茶色ですが、様々な色に着色された珪藻土建材もあり、内壁の塗料として幅広く利用されます。
漆喰との違い
漆喰は、主成分に消石灰(水酸化カルシウム)を含む素材で構成されています。消石灰は、学校のグラウンドなどで見かける白い線を引くのに使われる物質であり、これはサンゴ礁が大陸プレートと衝突してできた石灰岩(石灰石)に水を加えて生成されます。この消石灰に海藻のりなどを混ぜ、塗りやすくしたのが漆喰です。
また漆喰は、施工後に数年かかって硬化する特性を持っています。
珪藻土の壁のメリットとは?
調湿効果
珪藻土には、湿度の自然な調整機能が備わっています。微細な穴が表面に無数に存在し、これらの穴は空気中の水分を吸収する能力を持っています。また、空気中の湿度が低い場合は吸収した水分を放出します。これにより、部屋の湿度が高いときには水分を吸収して減少させ、逆に低いときには吸収していた水分を放出し湿度を増加させます。まさに自然の加湿器・除湿器とも言えます。
快適な湿度は一般的に40%から60%とされており、珪藻土はこの範囲内で湿度を調整する効果があります。このため、夏の湿度の高い時期や冬の乾燥した時期、両方の季節で快適な室内環境を提供します。水分の吸収と放出を行う珪藻土の壁は、その特性から「呼吸する壁」とも呼ばれ、その自然な湿度調整効果が注目されています。
脱臭効果
珪藻土が水分を吸着することで生じる脱臭効果は、その利点の一つと言えます。例えば、タバコの匂いや調理時の食材の匂いなど、日常生活で発生する様々な臭いを珪藻土の壁が吸収し、脱臭します。
このメカニズムは、匂いの元となる化学物質が空気中の水分に溶け、それを珪藻土が水分とともに吸着することによって実現されます。吸収された水分は緩やかに放出されますが、その速度は非常に遅いため、一度吸着された匂いを再び感じることはありません。
ペットを飼っている家庭でも、珪藻土の塗り壁が動物の体臭対策として活用されています。匂いに敏感な人にとっては、珪藻土の内壁は非常にありがたい存在でしょう。
また、ホルムアルデヒドやトルエンなどの揮発性有害物質も、湿気とともに吸着されるため、シックハウス症候群の予防にも寄与し、環境にも良いとされています。
耐火・断熱性能
七輪や耐火レンガに広く使用されてきたことからも明らかなように、珪藻土は非常に優れた耐火性能を有しています。その融点は摂氏1,200度前後であり、炙られた程度では燃えることはありません。
この耐火性により、通常の木材と比較して延焼に強い建材として高く評価され、火災が発生しても被害を最小限に抑えるのに貢献します。
さらに、優れた断熱性能も注目されています。珪藻土の微細な穴には空気が含まれており、これが断熱層として機能します。これにより、室内の熱が逃げにくくなり、快適な温かさを維持できるとされています。この性質は、暖房の効率を一定程度に抑え、冬季の電気代やガス代を節約する一因となるでしょう。
カラーバリエーションが豊富
珪藻土を用いた左官材料は、数百もの色彩バリエーションが揃っており、その豊富なラインナップは際立っています。漆喰と同様に似た風合いを出せるものの、漆喰は水酸化カルシウムが使用されているため、冬季になると表面に浮き出て空気中の二酸化炭素と反応し、白色化してしまう「白華現象」が生じます。このため、漆喰は主に白系統の色合いに限られます。
一方、珪藻土に使用されている二酸化ケイ素は白華現象を引き起こすことがなく、顔料を混ぜることで様々なカラーバリエーションを実現できます。これにより、内壁や外壁を独自のスタイルで彩り、おしゃれな雰囲気を演出できます。
珪藻土の壁のデメリットとは?
シミになりやすい
湿気を吸収する能力がある珪藻土の長所ですが、逆に、醤油やコーヒーをこぼした際にはシミになってしまう可能性があります。色の濃い液体をこぼした場合は、迅速に拭き取りましょう。
もし拭き取りきれない場合は、泡上の漂白剤を布につけ、シミの部分を軽く叩くと、時間が経つにつれて色が薄くなります。最後に湿らせたタオルなどで優しく叩くと、シミが取れて美しくなります。
粉が落ちやすい
珪藻土は土でできているため、壁紙やビニールクロスと異なり、触れたりなでたりすると粉が落ちることがあります。そのため、わずかな衝撃や子どもの触れによって壁が傷ついたり、床が汚れる可能性も考えられます。
ただし、近年の珪藻土にはこのデメリットを軽減する工夫が施されたものもあります。特に、頻繁に触れる場所や手の届く場所にはこのような特殊な商品を使用し、天井には通常の珪藻土を用いるなど、使い分けましょう。
珪藻土の壁は、藻類の化石からできた堆積岩で、主に土壌改良や保温、建材に使用されます。塗り壁に使う際は接着能力がないため、石灰やアクリル系の接着剤と混ぜて利用します。外観は漆喰に似ており、DIY向けにも人気があります。
湿度の調整機能があり、湿度が高いと吸収し、低いと放出して快適な室内環境を維持します。また、脱臭効果があり、タバコの匂いや食材の臭いを吸収し、ペットの体臭対策にも有効です。
耐火性が高く、断熱性能もあり、火災時の被害を抑えつつ暖房効率も向上させます。さらにカラーバリエーションも豊富で、様々な色で内壁や外壁を彩れます。
デメリットは、湿気を吸収しやすいためこぼした液体によってシミができやすい点です。また、触れると粉が落ちることがあり、特に頻繁に触れる場所には注意が必要です。